平成29年度税制改正大綱で中小企業経営強化税制の創設が発表されました。
この中小企業経営強化税制は、中小企業投資促進税制の上乗せ措置(即時償却や税額控除)部分を改組・新設するもので、従来の上乗せ措置よりも対象資産が拡充されています。
ただし、この適用を受けるためには中小企業等経営強化法による経営力向上計画の認定を受ける必要があります。
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中小企業経営強化税制
従来の上乗せ措置との違い
中小企業経営強化税制 | 従来の上乗せ措置 | |
---|---|---|
要件 | ・中小企業経営強化法の適用が必要 ・最新設備でなくてもよい |
最新設備 |
対象資産 | 生産性向上設備(A類型) 機械装置はすべて 工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアは一定のもの 収益力強化設備(B類型) 機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアのすべての資産が対象 |
・機械装置 ・サーバー用電子計算機、試験又は測定機器 ・稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウェア |
従来の上乗せ措置との大きな違いは、中小企業等経営強化法の認定です。
この認定を受けることで固定資産税の軽減も受けられるので、対象資産を取得した場合は申請を必ずしましょう。
また、最新設備である必要がなくなったことと、対象資産が拡充されたことで、対象となる事業者も増えそうです。
生産性向上設備(A類型)
要件
- 中小企業等経営強化法の認定
- 生産性が旧モデル比で年平均1%以上改善する設備
- 生産等設備であること
- 国内への投資であること
- 中古資産・貸付資産でないこと
対象設備
- 機械装置(取得価額160万円以上)
- 測定工具および検査工具(30万円以上)
- 器具・備品(30万円以上)
…試験・測定機器、冷凍陳列棚など - 建物附属設備(60万円以上)
…ボイラー、LED照明、空調など - ソフトウェア(70万円以上)
…情報を収集・分析・指示する機能
確認者
工業会等
税制措置
即時償却または7%税額控除(資本金3,000万円以下の法人・個人事業者は10%)
収益力強化設備(B類型)
要件
- 中小企業等経営強化法の認定
- ※投資利益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備
- 生産等設備であること
- 国内への投資であること
- 中古資産・貸付資産でないこと
※投資利益率とは、A÷設備投資額で計算します。
A=「営業利益+減価償却費」の増加額(設備取得等をする年度の翌年度以降3年間の平均額)
対象設備
A類型のように一定の設備という要件がありません。
- 機械装置(取得価額160万円以上)
- 工具、器具備品(30万円以上)
- 建物附属設備(60万円以上)
- ソフトウェア(70万円以上)
確認者
経済産業局
税制措置
即時償却または7%税額控除(資本金3,000万円以下の法人・個人事業者は10%)
適用期限
中小企業経営強化税制の適用期間は、平成29年4月1日〜平成31年3月31日までとなっています。
まとめ
平成29年度の税制改正では、中小企業の設備投資を促す制度が拡充されています。
中小企業投資促進税制の上乗せ措置も中小企業経営力強化税制と名を改め、対象資産の拡充により、制度の恩恵を受けられる事業者が増えそうですね。
ただ、中小企業経営強化法の申請は期限がありますので、せっかく対象設備を取得したのに申請期限に間に合わなかったということはないようにお気をつけください。