「会計ソフトを導入して自分で記帳をやってみよう」とお考えの方がまず悩むのが、「会計ソフトをどれにしたらいいのか?」ということではないでしょうか。
今流行りのクラウド型にするのか、従来型のインストール型にするのか、大きく分けてこの2つに大別されますが、どちらも一長一短ありますので、一概にどちらが良いとは言えないところがあります。
そこで今回は、税理士の私の視点で、クラウド型とインストール型のそれぞれのメリット・デメリットや、どういう人にどちらをオススメなのかを解説していきます。
なお、会計ソフトは、当事務所で扱っています「MFクラウド」「freee」「弥生会計」で説明をしていきます。
メニュー
インストール型の会計ソフト
従来からあるタイプの会計ソフトで、パソコンにインストールして使います。
私の事務所も、基本的にはこのインストール型の会計ソフトである弥生会計を使っており、私が税理士業界に入ってから一番長く使っているソフトでもあります。
この記事の投稿日現在の価格でスタンダードが40,572円、部門管理ができるプロフェッショナルが63,783円となっています。
ちなみに、当事務所のような弥生プロフェッショナルアドバイザーとなっている税理士事務所や会計事務所の紹介で購入すると、もう少し安くなります。
メリット
インターネットにつながっていなくても使える
インストール直後にライセンス認証をするときやオンラインアップデートするときは、インターネットにつながっている必要がありますが、普段使うときはつながっていなくても使えます。
買いきりである
クラウド型は月払いまたは年払いであるため、使用し続ける限りコストがかかりますが、インストール型は一度買えば消費税率の改定があるなどの大幅な法改正がなければ、購入後のコストはかかりません(弥生会計の場合、サポートに加入すると更新料として購入金額より若干安い金額が毎年かかります)。
常に消費税の免税事業者である場合や、決算や確定申告を税理士事務所にご依頼されている場合は、最初に買ったものでも何年かは使うことができます。
もたつきがない
パソコンの性能にもよりますが、一般的にクラウド型よりも動作速度は速く、読み込みのストレスはありません。
税理士事務所に使い方を教えてもらえる
弥生会計などのメジャーなソフトであれば、弥生のサポートに入っていなくても、顧問契約をしている税理士事務所に操作方法を教えてもらうことができますし、トラブルが起きたときの対応もしてもらえます。
ちなみに私は、弥生会計を長年にわたり、かなり使いこなしてきましたので、ほとんどのことに対応可能です。
デメリット
ライセンス制なので使えるパソコンの台数に制限がある
弥生会計の場合、1ライセンスにつき2台のパソコンにインストールできますが、同時使用はできません。
同時使用するには2ユーザー版を購入する必要があります。
クラウド型に比べて自動連携はまだ弱い
弥生のサポートに入っていれば、銀行口座やクレジットカードのデータを読み込んでデータを取り込むことができますが、クラウド型に比べるとまだ発展途上な感じです。
サポートに入っていない場合でも、銀行口座やクレジットカードからCSVデータを取り出して、Excelで加工すれば取り込むことはできますが、そこそこのスキルは必要です。
インストールしているパソコンが壊れるとデータが飛ぶ
インストールしているパソコンが壊れるとデータが飛んでしまいますが、これについては、USBメモリーや外付けHDDにバックアップをこまめに取っておけばいいので、それほど大きなデメリットでもないかもしれません。
クラウド型の会計ソフト
シェア的にはまだまだインストール型の方が大きいものの、クラウド型もシェアをどんどん拡大しており、またアップデートのスピードが速いため使い勝手も向上しています。
特に最近は、当事務所でも扱っているマネーフォワード(MF)とfreeeが勢力を伸ばしつつあります。
MFは、個人向けが月額800円(税抜)から、法人向けが月額1,980円(税抜)から使えます。
会計ソフト freee (フリー) | 無料から使えるクラウド会計ソフト
freeeは個人向けが月額980円(税抜)から、法人向けが月額1,980円(税抜)から使えます。
メリット
インターネット環境があればどのパソコンからでも使える
クラウド型の大きなメリットのひとつが、インターネット環境があればどのパソコンからでも使えることです。
銀行口座やクレジットカードなどとのデータ連携が便利
クラウド型の大きなメリットのもうひとつが、銀行口座やクレジットカードからデータ連携と自動仕訳作成機能です。
取引を学習することによって自動的に科目を割り当ててくれますので、リアルタイムに近い状態で帳簿ができあがります。
パソコンが壊れてもデータを復旧する必要がない
パソコンが壊れても、すぐに他のパソコンから使うことができますし、データの破損の心配がいりません。
税理士事務所などの外部専門家との連携がスムーズ
税理士事務所にも会計データを見る権限を与えれば、インストール型の会計ソフトのようにデータをメールで送受信する必要がないので、会計データのチェックや訂正などの連携がスムーズに行なえます。
インストール型会計ソフトからのデータ移行ができる
インストール型の会計ソフトからのデータ移行ができるため、科目設定や期中の導入でも手間がかかりません。
また、クラウド型からインストール型へのデータ移行も可能なので、またインストール型に戻ることもできます。
デメリット
インターネット環境がないと使えない
当然ながらインターネット環境がないとまったく使えませんし、外部のWi-Fiを使う場合はセキュリティの懸念があります。
ネットバンクを使わないと利便性が半減
やはりクラウド型の魅力はネットバンクやクレジットカードとの連携ですから、ネットバンクを使っていないとあまり意味がありません。
法人の場合はネットバンクの利用料がかかることが多いので、ソフトの利用料プラスネットバンクの利用料のコストもかかります。
複数の口座を持っている場合は、口座を整理するか、ゆうちょ銀行やネット専業銀行などのネットバンクの利用料がかからない口座に変更することも検討しましょう。
社内で複数の人間が使う場合、ライセンス管理が問題に
社内の複数の人間で使えるということは、情報が外部に漏洩してしまうリスクがあることや、退職者が出たときにすみやかにライセンスを停止するなどの管理の手間がかかります。
ランニングコストがかかる
クラウド型会計ソフトは買いきりではないので、使い続ける限り毎月あるいは毎年ランニングコストがかかります。
なお、ライセンス契約を更新しなくても会計データがすぐに削除されるわけではなく、事業所データやアカウントを削除しない限りは、会計データを見ることはできますし、再開することもできます。
まとめ
インストール型とクラウド型は、使う人のスタイルによってどちらがピッタリか変わってきます。
ネットバンクやクレジットカード、デビットカードを活用して経理の手間を省き、経営状況をリアルタイムで把握したい方はクラウド型の方がオススメです。
一方、データ連携はあまり使わない、サクサク入力したい、コストはあまりかけたくないという方はインストール型が合っているかもしれませんね。