法人が太陽光発電などによる売電事業をおこなった場合、法人事業税はもうけに対して課税されるのではなく、売上高に対して課税されますので注意が必要です。
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売電事業は収入に課税される
太陽光発電による売電は電気供給業に区分され、電気供給業については、収入金額つまり売上高に対して事業税が課税されます。
このほかガス供給業、保険業も同様に収入金額に対して事業税が課税されます。
税額の計算の仕方
法人の事業税の計算
売電事業を行う法人に対して課税される事業税は、法人事業税の収入割額と地方法人特別税の合計額で計算されます。
① 法人事業税の収入割額 =(収入すべき金額の総額 ー 控除すべき金額)× 0.965%(0.9%)
② 地方法人特別税 = ① × 43.2%
③ ① + ② = 法人事業税
※かっこ書きの税率は不均一課税適用法人の税率で、不均一課税適用法人の範囲は都道府県によって異なります。
収入すべき金額の総額とは
電力の売電により収入した金額すべてになります。
- 電灯料収入
- 電気料収入
- 遅収加算料金
- せん用料金
- 電球引換料
- 配線貸付料
- 諸機器貸付料及び受託運転収入
- 諸工料
- 水力又はかんがい用水販売代等の供給雑益に係る収入
- 設備貸付料
- 事業税相当分の加算料金など
なお、金額には消費税額は含みませんので、税込経理している場合には、税抜にした金額にしなければなりません。
控除すべき金額とは
控除すべき金額は次のとおりです。
- 国、地方公共団体からの補助金
- 固定資産の売却収入
- 保険金収入
- 有価証券の売却収入
- 不用品の売却収入
- 受取配当金・受取利息
- 損害賠償金
- 投資信託の収益分配金
- 社宅貸付料など
売電事業以外も営んでいる場合
売電事業以外に、例えば所得(もうけ)をベースに事業税が課税される事業も営んでいる場合には、他の事業は所得金額ベースで税額を計算し、売電事業は収入金額ベースで税額を計算して、最後に合算した事業税額を納付します。
また、売電事業と他の事業に共通する経費がある場合は、売上金額など妥当なあん分割合で計算することになります。
なお、主たる事業に比較して、事業規模が軽微な場合には、主たる事業に含めて法人事業税を計算することも認められています。
具体的には、本業として不動産貸付業を営んでいる法人が、副業として太陽光発電による売電事業をしていても、その売電事業が不動産貸付業の1割以下の売上高であるなど軽微な場合には、すべてを不動産貸付業として事業税の計算をすることができます。
まとめ
太陽光発電の売電事業は、収入金額をベースに事業税が課税されます。
ということは、赤字であっても法人事業税だけは納税が発生しますので、売電事業を営む場合には、赤字だから納税は均等割だけとは思わないようにしましょう。