事務所や社宅を借りたとき最初に支払うものとして敷金・保証金、礼金・権利金・敷引きなどがあります。
これらは混同しやすく税務上の取扱いも反対ですので、違いと取扱いを確認しておきましょう。
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敷金、保証金、礼金、権利金、敷引きの違いとは?
敷金・保証金
借り主側
敷金と保証金は同じ意味で、賃貸借契約を結んだときに大家さんに預けるお金です。
預けているだけで退去時には返還されるものなので、税務上は貸借対照表の投資等に敷金や保証金として資産計上します。
貸し主側
一方、敷金・保証金を預かった貸し主側の大家さんは、いずれ返さないといけないものですから収入には計上せず、貸借対照表の固定負債に預り保証金として計上します。
礼金・権利金・敷引き
借り主側
礼金、権利金、敷引きは同じ意味で、敷金・保証金と同様に賃貸借契約を結んだときに大家さんに支払うものですが、退去しても返還してもらえません。
そのため、税務上は経費となるのですが、一定のルールがあります。
20万円未満の場合・・・全額を支払った事業年度の経費にできます
20万円以上の場合・・・5年又は契約期間の短い方の年数で均等償却します
20万円以上の場合は、一度に経費にすることができませんので注意しましょう。
貸し主側
貸し主側の大家さんは、もらった礼金・敷引き・権利金を返す必要がないので、もらった事業年度に全額を収入として計上します。
借り主のように、20万円以上であっても5年をかけて収入計上とはなりません。
条件により返還されないもの
敷金・保証金の中には、条件により返還されないものがあり、その条件をみたした時点で経費又は収入に計上します。
敷金のうち40%を返還不要とし、残額を契約終了後に返還する場合
契約時に40%が返還されないことが確定しているので、借り主側は敷金のうち40%部分を礼金・権利金などと同様に5年又は契約期間で費用化していきます。
貸し主側も同様に、契約時に返還しなくていいことが確定しているので、契約時に敷金の40%を収入計上します。
3年以内に解約した場合には全額返還し、それ以後に契約満了又は解約した場合には70%を返還する場合
3年を経過するまでは返還される金額が確定していないので、3年を経過したときに敷金の30%を、借り主側は礼金や権利金と同様に費用化し、貸し主側は収入計上します。
貸付け終了後に返還を要しない金額が確定する場合
貸付期間が終了するまでは返還する金額が確定していないので、貸付終了時に返還されない金額を、借り主側は全額費用計上し、貸し主側は収入計上します。
貸し主側の都合により退去する場合には全額返還し、借り主の都合により退去する場合には敷金の90%を返還する場合
貸し主の都合により退去することは不確定なことですが、退去時に10%を返還しないことは契約時に確定しています。
なので、敷金の10%を、借り主側は礼金や権利金と同様に費用化し、貸し主側は収入に計上します。
また、貸し主側の都合で退去してもらう場合には、契約時に収入計上した敷金の10%を今度は逆に立退料として費用計上します。
まとめ
敷金・保証金、礼金・権利金・敷引きは、文字だけを見ていると返ってくるのものだったか、返ってこないものだったか分からなくなりますが、しっかりと区別をつけておきましょう。
一番マズいのは、多額の保証金を契約時に全額経費として処理してしまうケースです。
このような処理をしないように注意しましょう。