法人の事業年度は、通常12ヶ月であることがほとんどです。
ところが設立第1期目については、設立登記のときに設立日と事業年度末日を選ぶことができるため、設立1期目の月数を12ヶ月以下の月数で選択できます。
ただ、この選択によっては消費税の免税期間が短くなる場合もありますので、第1期目の月数の決め方には注意が必要です。
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以前は設立1期目は12ヶ月が基本
以前は、設立時の資本金の額を1,000万円以上にしない限り、消費税の納税義務の有無の判定は2期前の課税期間の課税売上高(消費税のかかる売上高)でのみで判定していましたので、2期前の課税期間が存在しない設立1期目・2期目は消費税の免税事業者でいられました。
ですので、できるだけ長く免税事業者の期間を取りたいのならば、第1期目は12ヶ月にするのが基本でした。
改正後は予測が必要
ところが平成23年度税制改正により、設立1期目の状況によっては、2期目から消費税の納税義務が発生するようになりました。
この改正の内容は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間の直前期の期首日から6ヶ月の期間(特定期間といいます)の課税売上高が1,000万円を超え、かつ、同期間の給与総額が1,000万円を超える場合は、強制的に消費税の納税義務者になるというものです。
この改正を受けて、設立2期目の直前期である1期目の期首から6ヶ月間の課税売上高と給与総額がともに1,000万円超ならば、設立2期目から消費税の納税義務者に強制的になるケースが出てきました。
ちなみに特定期間の課税売上高または給与総額のどちらか一方のみ1,000万円超の場合には、納税者の選択により課税事業者になることも免税事業者になることもできます。
直前期の期首から6ヶ月間ということですが、では直前期が6ヶ月に満たない場合はどうなるのでしょうか?
実は、直前期が7ヶ月以下(6ヶ月ではありません)の場合や、直前期が7ヶ月を超8ヶ月未満で一定の場合には、特定期間は存在しないことになり、直前期首からの6ヶ月間の課税売上高と給与総額で判定するする必要がないのです。
つまり、設立1期目の期首か6ヶ月間で、課税売上高も給与総額も1,000万円を超えることが見込まれるなら、設立1期目は12ヶ月ではなく、7ヶ月にすれば、最大1年7ヶ月は消費税の免税事業者でいられることになります。
もし何も考えずに設立1期目を8ヶ月〜12ヶ月にしていれば、1期目の月数しか免税事業者でいられませんので、売上高と給与総額のシミュレーションが大事になります。
本当の創業からの法人設立であれば、1期目の期首から6ヶ月間で課税売上高と給与総額がともに1,000万円を超えるケースは少ないでしょうが、個人事業者が法人成りにより設立した法人であれば、1期目から事業が軌道に乗っている可能性が高いので、超えるケースは想定されますから注意が必要です。
まとめ
- 平成24年4月1日以後に開始した課税期間からは、従来の基準期間(2期前)の判定に加えて、直前期の期首から6ヶ月間の課税売上高と給与総額でも納税義務の判定をするようになった
- 設立1期目から相当の課税売上高と給与の支払いが見込まれるなら、1期目は7ヶ月以下にする方が有利
法人を設立する準備段階から、1期目の予測をたてて、事業年度の月数を決定しましょう。