先日の税務通信に気になる記事がありましたのでご紹介します。
設立費用が安いということで増えてきた合同会社。
その合同会社に出資している社員が死亡した場合、その持分(株式会社でいうところの株式)の取扱いが株式会社の場合とは違うようなのです。
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株式会社の場合
株式会社の株主が死亡した場合には、その保有する株式は相続財産として相続人に引き継がれます。
株式として相続するので、その株式は株式の評価方法で評価されることになり、取引相場のない株式の場合、類似業種批准価額などを使うことができれば、評価額の引き下げを見込むことができます。
合同会社の場合
合同会社の社員(株式会社でいうところの株主)が死亡した場合には、その社員は退社することになり、その持分(株式会社でいうところの株式)は強制的にその社員に払い戻しされます。
払い戻された持分は、出資の元本部分と出資してから払い戻しまでの利益の蓄積部分(累積赤字の場合はありません)で構成されています。
その利益の蓄積部分はみなし配当として、死亡した社員の配当所得として死亡した社員に所得税が課税され、元本部分は払戻請求権として相続人に相続され、相続税の課税対象になります。
その場合の元本部分の評価には、取引相場のない株式の評価方法を適用できませんので、評価額の引き下げることができません。
合同会社が株式会社と同じようにするには
合同会社が株式会社と同様に、社員の相続人に持分を承継させるためには、定款に持分を承継させる旨を次のように定めておく必要があります。
(法定退社及びその特則)
第◯条 各社員は、会社法第607条の規定により、退社する。
2 前項の規定にかかわらず、社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における、当該社員の相続人その他の一般承継人が、当該社員の持分を承継することとする。
会社法第607条というのは、社員の退社の事由について定めている条文で、死亡以外にも合併、解散、破産手続き開始などがあります。
私も自分が代表の合同会社を作っているので、定款を確認したところ、上記の内容を記載していました。
こういうことを考えて定款を作ったわけではないのですが、私が参考にしたひな形には記載されていたようですね。
まとめ
- 合同会社の社員が死亡した場合には、持分の払い戻しがされるだけで、持分は相続人に承継されない
- 株式会社の株主が死亡した場合には、株式は相続人に承継される
- 合同会社の社員の持分を、死亡後、相続人に承継させる場合は、定款にその旨を記載する必要がある
合同会社は出資と経営が一体なので、家族経営の会社も多いかと思います。
なので持分が家族に承継されるのは当然のことと考えがちですが、定款に定めていないと承継ができません。
合同会社の経営者の方は、今一度、定款を確認していただいて、持分の承継の旨が記載されているかどうかを確認しておき、必要ならば定款を改定されることをオススメします。