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上場株式等の譲渡損失の繰越控除は確定申告書を提出する順番を間違えると使えない場合があります

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上場株式等の譲渡損失

上場株式等を譲渡した場合に生じた損失は、確定申告書を提出することにより翌年以後3年間繰り越して譲渡益や配当所得から控除することができます。

ただし、毎年毎年きっちり申告していれば何の問題もないですが、過年度の申告書を申告期限後に提出する場合には、提出する順番を間違えると損失の繰越控除が使えない場合があります。

 

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上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除とは

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除とは次のような制度です。

上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したこと等により生じた損失の金額のうち、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除することができる

 

この適用を受けるためには以下の手続が必要です。

  1. 上場株式等の譲渡損失が生じた年分の確定申告書を一定の書類を添付して提出していること
  2. その後連続して一定の書類の添付がある確定申告書を提出していること

一定の書類とは所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)という書類です。

確定申告書付表1

確定申告書付表2

なお、この場合の確定申告書は申告期限内確定申告書に限定されておらず、申告期限後の確定申告書でも構いません。

 

”その後連続して確定申告書を提出”の意味

ここで重要なのが、「その後連続して確定申告書を提出」というところです。

この”連続して”とは時系列で連続してという意味で、平成25年分の確定申告書の提出後に平成26年分の確定申告書を、平成26年分の確定申告書の提出後に平成27年分の確定申告書を提出するということです。

次がやってはいけないパターンです。

  1. 平成26年分は給与所得のみで年末調整で完結しているので、確定申告書を提出せず
  2. 平成27年分は株式等の譲渡益が生じた確定申告書を提出
  3. その後、平成26年分に上場株式等の譲渡損失が生じていたことに気づき、損失額を記載した確定申告書を提出
  4. 平成26年分の確定申告書の提出と同時に、平成27年分の譲渡益から平成26年分の譲渡損失を繰越控除する更正の請求書を提出

この場合、平成27年分の確定申告書について更正の請求をすることはできません。

これは「平成26年分→平成27年分」という順番で提出されておらず、「平成27年分→平成26年分」という順番で提出されているからです。

なお、平成26年分の繰越損失額は平成27年分の譲渡益から控除することはできませんが、平成28年分・29年分の譲渡益から控除することは可能です。

国税不服審判所 平成28年3月7日裁決

 

まとめ

申告期限後に確定申告書を提出する場合は、その前年以前に上場株式等の譲渡損失がないことを確認する必要がありますね。

譲渡損失があることを見落とすとムダな税金を払うことになってしまいますから注意が必要です。

なお、損失の繰越控除として純損失の繰越控除雑損失の繰越控除もあります。

これらは平成22年分以前は申告期限までの確定申告書を提出しないと適用はなかったのですが、平成23年分以後は期限内申告要件が撤廃されたので、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除と同じく、申告期限後の確定申告書の提出でも適用を受けられるようになりました。

そして、同じように”その後連続して確定申告書を提出”という要件がありますので、申告期限後に確定申告書を提出する場合は、前年以前に無申告の事業や不動産から生じた赤字がないかや、災害・盗難・横領による損失がないかの確認をしましょう。

 

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