今まで住宅ローン控除は、居住者(日本国内に生活の本拠がある人)のみ適用されてきましたが、平成28年度税制改正で非居住者(居住者以外の人)にも適用されることになりました。
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改正の内容
平成28年度税制改正前では、租税特別措置法(以下「措法」。)41条に次のように記されていました。
第41条 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
居住者が、国内において、住宅の用に供する家屋で政令で定めるもの・・・中略・・・その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除する。
平成28年度税制改正では、措法41条に次のように記されました。
第41条 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
個人が、国内において、住宅の用に供する家屋で政令で定めるもの・・・中略・・・その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除する。
「居住者が」というところが「個人が」に変わりました。
これが意味するところは、「日本国内に生活の本拠がある人だけでなく、それ以外の人が住宅を取得した場合にも適用できますよ」ということです。
実際の適用が想定されるケース
ただし、非居住者なら誰でも住宅ローン控除の適用を受けられるけではありません。
日本国内に住宅を取得しても、そもそも住んでいなければ住宅ローン控除の対象ではないからです(これは居住者も同じですね。)
ですので、次のような方々が今回の改正の恩恵を受けられると想定されます。
- すでに住宅ローン控除の適用を受けている人が海外に単身赴任し、生計一親族は引き続き国内の住居で生活する場合
- 海外赴任を終えた人が、日本国内に戻ることになり、戻る前(居住者になる前)に日本国内で、これから住む居住用不動産を購入した場合
- 海外赴任中の人が、日本国内で生活する生計一親族が住むための居住用不動産を購入した場合
以前は、国内の単身赴任者なら住宅ローン控除の適用を受けられるのに、海外の単身赴任者は適用を受けられないという不公平な状況がありましたが、今回の改正によりそれも解消されることになります。
まとめ
国内の単身赴任と海外の単身赴任で取り扱いが変わるということについては、以前から疑問を感じていたところでしたので、この改正は本当に”改正”(たまに改悪もありますので)ですね。
今回は住宅ローン控除について解説しましたが、この非居住者への適用拡大は、増改築等や住宅ローンがない場合の税額控除にも適用されます。
なお、この改正は平成28年4月1日以後に住宅を取得する場合について適用されますので、平成28年3月31日までに住宅を取得された場合は従前の取り扱いになりますので、ご注意ください。