以前に、上場株式等の配当所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式(総合課税、申告分離、申告不要)を選択できるという記事を書きました。
こちらの記事はよくアクセスしていただいていますが、自治体によっては対応がマチマチなこともあるようで、多少混乱があるようです。
例えば、住民税の確定申告書の提出が先でないと別々の課税方式を選択できないという自治体もあるようですが、実際はどうなんでしょうか?
税務通信の最新の記事で、このことについての触れていましたのでご紹介します。
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申告書の提出の順番によって選択できない場合があるのか?
一部の自治体で、住民税の申告書が先に提出された場合のみ、異なる課税方式を選択できると解釈したのは、地方税法で次のようにあるからのようです。
地方税法45条の3、317条の3の要約
前年分の所得税につき所得税の確定申告書を提出した場合には、その確定申告書が提出された日に住民税の規定による確定申告書が提出されたものとみなす。
この場合、その所得税の確定申告書に記載された一定の事項は、住民税の確定申告書に記載されたものとみなす。
ただし、その所得税の確定申告書の提出日前に住民税の確定申告書が提出された場合は、この限りでない。
ただし書き以降の内容で、住民税の確定申告書を先に提出した場合のみ、所得税で選択した課税方式と異なる課税方式を住民税の申告において選択できると解釈したのでしょう。
しかし、所得税の確定申告書を提出したときに1回目の住民税の確定申告書の提出があったとみなされ、その後に提出した住民税の確定申告書は2回目の確定申告書なので、一般的には後に提出したこの2回目の確定申告書が有効とされます。
ただし書きで言っているのは、先に住民税の確定申告書を提出した場合、所得税の確定申告書は2回目の住民税の確定申告書とみなさないと言っているだけに過ぎず、住民税の確定申告書を先に提出することが、所得税と住民税とで異なる課税方式を選択するために必須の要件ではありません。
まとめ
平成29年度については、自治体での取扱いにバラツキがあるようですが、平成30年度については平成29年度税制改正で明文化されましたので、取扱いは統一される見込みです。
なお、異なる課税方式の選択した住民税の確定申告書をできるのは、納税通知書の送達日である6月初旬までです。
もうすぐその期限が近づいてきていますので、申告書を提出しようとお考えの方は急ぎましょう。