匿名組合や任意組合といった組合に出資をした場合、その組合から利益の分配を受けることがあります。
この場合、組合員がもらった収益の分配は配当になるのでしょうか?
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匿名組合契約の場合
匿名組合契約とは
匿名組合契約とは、商法の535条に定められていて、組合員が営業者の営業のために出資をし、営業者がその営業から生ずる利益を組合員に分配することを約する契約をいいます。
営業者は、利益を各組合員に分配したあとの残額についてのみ課税されます。
配当をする場合と違うのは、配当は課税されたあとの利益を分配するので、営業者にとっては配当を支払ったとしても経費にはなりませんが、匿名組合契約であれば利益の分配は経費になります。
組合員の所得区分
原則…雑所得
組合員が営業者とともに経営する場合
…営業者の営む事業の種類によって、事業所得、不動産所得、山林所得
利益に関わらず一定額・一定割合の分配を受ける場合
…事業所得または雑所得
任意組合の場合
任意組合とは
任意組合とは、民法667条に定められている、数人が金銭その他の財産、労務などを出資して、共同の事業を営むことを約する契約によるものをいいます。
匿名組合契約と違って、組合の事業から生じた所得は各組合員に帰属するため、利益の分配がなくても、その出資の割合に応じて、各組合員の所得として、所得税・住民税が課税されます。
また、任意組合は法人格がないので、任意組合に対して法人税が課税されることはありません。
組合員の所得の帰属時期
原則的には暦年(1月1日〜12月31日)ですが、組合が暦年以外の事業年度を定めている場合には、その事業年度とすることができます。
組合員の所得区分
組合が営む事業の内容によって、事業所得、不動産所得、山林所得、雑所得となります。
また、任意組合の組合員が、組合から給与の支給を受けたとしても、事業所得、不動産所得、山林所得、雑所得となります。
まとめ
匿名組合や任意組合からもらう収益の分配は、配当ではなく、その営業者や組合の営む事業の内容によって所得区分が変わります。
また、匿名組合と任意組合は、両方とも組合とつきますが、性質は異なります。