個人がビットコインを代表とする仮想通貨を使った場合、何所得になるのか?いつ課税されるのか?が話題になっていましたが、このほど、国税庁のHPに見解が出されました。
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仮想通貨により生じた所得は雑所得または事業所得
以前は、雑所得か?譲渡所得か?などの見解もありましたが、このほど国税庁HPのタックスアンサーに次のような見解が出ました。
タックスアンサーNo.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
〜国税庁HPより〜
ビットコインとありますが、仮想通貨全般についてのものと考えられます。
原則は雑所得になります。
そして、総合課税になりますので、他の総合課税の所得(配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、総合譲渡所得、一時所得)と合算されて、超過累進税率(所得が高くなればなるほど高い部分の所得に対する税率が高くなる)が適用されます。
そのため、申告分離課税となる株式の譲渡損益や先物取引の損益とは通算できません。
なお、原則雑所得とありますが、事業として継続的に仮想通貨の取引を繰り返す場合や、事業用資産を仮想通貨で購入した場合など、仮想通貨を事業で使用している場合には、事業所得になります。
課税時期
仮想通貨をただ持っているだけでは利益が発生したとは認められず、税金も課されません。
では、仮想通貨による利益の発生はいつ認識し、いつ課税されるのでしょうか?
仮想通貨の課税時期は次の4つになります。
- 日本円等に換金時
- 仮想通貨で資産を購入した時
- 別の仮想通貨とトレードした時
- 採掘した時
外国通貨のように、期末時のレートで円換算して期末時に為替差損益を認識するのとは、異なるようです。
日本円等に換金時
例えば、1BTC40万円のときに購入したビットコインを、1BTC44万円のときに日本円に換金した場合はこうなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 440,000円 | 仮想通貨 | 400,000円 |
雑所得 | 40,000円 |
仮想通貨で資産を購入した時
例えば、1BTC40万円のときに購入したビットコインで、1BTC44万円のときに固定資産を3BTCで購入した場合はこうなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
固定資産 | 1,320,000円 | 仮想通貨 | 1,200,000円 |
雑所得 | 120,000円 |
別の仮想通貨とトレードした時
例えば、50万円で購入したA仮想通貨を、45万円のB仮想通貨と交換した場合はこうなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
B仮想通貨 | 450,000円 | A仮想通貨 | 500,000円 |
雑所得 | 50,000円 |
採掘した時
例えば、1BTC44万円のときに採掘により2BTC取得した場合はこうなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仮想通貨 | 880,000円 | 雑所得 | 880,000円 |
まとめ
- 仮想通貨により生じた利益は原則雑所得で、事業で使用すれば事業所得
- 仮想通貨により生じた利益は総合課税で、株式や先物取引などの申告分離課税の所得とは通算できない
- 仮想通貨は持っているだけでは課税されず、換金、使用、交換、採掘時に課税される